053 個人事業主のためのインボイス制度(意義)

2023年5月7日

いよいよ令和5年10月1日からインボイス制度が始まりますが、まだ「よく分からない」個人事業主の方はいませんか?インボイス制度を一言で説明すると、「原則として仕入税額控除を行うために、適格請求書の保存が必要な制度」です。
したがって、「あなたが得意先に適格請求書を交付しなければ、得意先が納める消費税額は増加します。」しかし、多分あなたは適格請求書を交付できません。その理由は後で説明します。

⒈仕入税額控除

仕入税額控除とは、課税売上げに対する消費税額から課税仕入れに対する消費税額を引いて、事業者が納める消費税額を求めることをいいます。

⑴例外

適格請求書を保存しなくても、例外として次の課税仕入れなどに対する消費税額は仕入税額控除を行えます。
・公共交通機関からの(税込)3万円未満のもの
・自動販売機からの3万円未満のもの
・入場券などが使用の際に回収されるもの

⑵経過措置

適格請求書を保存しなくても、次の経過措置があります。
・免税事業者などからの課税仕入れに対する消費税額のうち、令和5年10月1日から令和8年9月30日までは80%、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは50%の仕入税額控除を行えること
・令和5年10月1日から令和11年9月30日まで、基準期間(個人事業主は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1億円以下の事業者などであれば、例外として1万円未満の課税仕入れに対する消費税額は仕入税額控除を行えること

⒉適格請求書

適格請求書とは、次の事項を記載した請求書や納品書などをいいます。
・売り手の氏名又は名称及び「登録番号」
・取引年月日
・取引の内容(軽減税率の対象品目である旨を含みます)
・税率ごとに合計した対価の額及び適用税率
・「消費税額」
・買い手の氏名又は名称
また、適格請求書は適格請求書発行事業者「だけ」が発行できます。

⑴適格簡易請求書

適格請求書発行事業者が小売業や飲食店業などであれば、適格簡易請求書の交付をすることにより、適格請求書の交付に代えられます。適格簡易請求書では、適格請求書の記載事項のうち、適用税率か消費税額の「どちらか」と買い手の氏名又は名称は不要です。

⑵適格請求書発行事業者

適格請求書発行事業者とは、次の条件を満たす事業者をいいます。
・「課税事業者」であること
・登録申請書を提出し、登録を受けること
したがって、個人事業主の大多数を占める免税事業者は適格請求書発行事業者になれません。冒頭で「多分あなたは適格請求書を交付できません。」と言った理由がこれです。「どうしたら良いか」は次回以降に説明します。
なお、登録申請書を令和5年9月30日までに提出することにより、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者になれます。