059 法人成りの目安(補正)

2023年5月14日

⒈補正項目

この⒈では前提条件はありますが、損益分岐点を計算する上で必要な事項についても考えていきます。

⑴消費税

新たに法人を設立すると消費税の納税義務が原則として2年間免除されます。もともと課税事業者という前提条件はありますが、ここでは事業所得の金額×10%×2年とみなして、5年間で収益計上します。例えば、事業所得の金額が300万円であれば、3,000,000×10%×2年÷5年=120,000円となります。
ただし、インボイス制度の開始により課税事業者を選択すれば、もちろん0円です。

⑵年金

国民年金から厚生年金になると報酬比例部分と同額だけ年金が増加します。65歳から85歳まで20年間受給するという前提条件はありますが、ここでは標準報酬月額×0.5481%×60月×20年とみなして、5年間で収益計上します。例えば、標準報酬月額が22万円であれば、220,000×0.5481%×60月×20年÷5年=289,397円となります。

⒉補正後

損益分岐点に補正項目を加味して下記の早見表を求めます。
・補正後の早見表
事業所得
(青特前)
╱給与収入 損益分岐点 消費税 補正後
(その一) 年金
(標月)
補正後
(その二)
300万円
╱252万円 ▲341,371円 120,000円 ▲221,371円 289,397円
(220,000) 68,026円
600万円
╱504万円 ▲218,419円 240,000円 21,581円 539,330円
(410,000) 560,911円
900万円
╱756万円 ▲173,264円 360,000円 186,736円 815,573円
(620,000) 1,002,309円
1200万円
╱1008万円 ▲21,940円 480,000円 458,060円 855,036円
(650,000) 1,313,096円
1500万円
╱1260万円 330,360円 600,000円 930,360円 855,036円
(650,000) 1,785,396円
したがって、「補正後(その一)は約600万円、補正後(その二)は約300万円である」ことがわかります。

このシリーズでは、東京都に小さな会社を設立するケースで、一般的な税率や保険料率を用いて考えてきました。
そのため、お住まいの都道府県や市区町村における「実際の金額とは多少異なる」ことをご理解ください。