063 会社設立の流れと必要書類

2023年5月20日

導入

個人事業主が節税対策として会社設立をすることが挙げられます。
会社設立をすることにより、節税に繋がることのほか、信用力が高まり、融資を受けることができたなどのメリットがある反面、設立時の事務負担やコストなどデメリットも挙げられます。
今回は会社設立について、どういった流れで設立していくのか、設立時の必要書類は何が必要となるのか解説していきます。

会社設立の流れ

会社には株式会社、合同会社、合資会社、合名会社など、いくつか種類がありますが、会社の種類で最も多い株式会社を例として、設立の流れを解説していきます。

なお、株式会社の設立手続きは、発起設立と募集設立の2つの方法があります。
募集設立の場合、発起設立で必要とされる手続きに加え、発起人以外の者に株式募集をし、かつ創立総会を開催する必要があるため、発起設立の方が募集設立より手続きが容易です。

小規模な株式会社の設立を検討している場合には、発起設立の手続きを選択した方が良いので、以下では発起設立について解説していきます。

発起設立とは、発起人が設立時の発行株式数をすべて引き受ける設立方法となります。

発起人となる者は、設立の際に、まず定款を作成し、その定款に記名押印する必要があります。

また、定款は公証人役場で認証を受ける必要があるので、公証人に発起人本人であることを確認してもらうために、定款には実印を押印し、かつ、印鑑証明書を用意する必要があります。

定款認証後、発起人は設立時の発行株式の引受けをした後すぐに、引き受けた株式に関する資本金を、払い込む必要があります。

発起設立の手続きの場合、資本金の払い込みは、発起人の銀行口座に預け入れるか、またはその口座に振り込む方法により資本金を払い込むことができます。

発起人が複数名いる場合は、発起人で、そのうちの1人の口座を払い込みをする金融機関と定めて、その銀行口座に発起人の各々が振り込みます。

『払い込みがあったことを証する書類』は、具体的な入金の事実を証明するために要求されているものですので、残高証明書の払い込みの日が確認できない書類を『払い込みがあったことを証する書類』とすることはできません。

登記手続きでは、払い込みを受けた口座の通帳の表紙と表紙の裏及び振り込みや預け入れされた事が記帳されているページをコピーします。

そのコピーを会社の設立時代表取締役が払い込みを受けた事は間違いない旨の記載のある証明書と合致し、ホチキスで留め、それぞれのページの間を割り印します。
この書類が『払い込みがあったことを証する書類』となります。

上記の準備が完了したら、本店所在地を管轄する法務局に設立登記を申請することによって、会社設立が成立します。

会社成立日は、設立登記申請が法務局に受け付けた日となるので、法務局が開いていない休日を会社成立日とすることができません。

登記申請には、登録免許税を納付する必要があります。登録免許税の税率は、登録免許税法で定められており、資本金の額の0.7%です。ただし、最低金額として15万円と定められております。

登録免許税は、その税額の収入印紙を登記申請書に貼付して納めます。

設立登記の申請は、会社代表者から申請します。
その申請にあたって、代表者は会社の印鑑をあらかじめ法務局に届け出なければなりません。印鑑の届出は、法務局に備え付けられている定型書式の用紙に必要事項を記載して行います。

以上のことが完了すれば、会社設立という流れになります。

会社設立時の必要書類

会社設立においては管轄の法務局へ登記申請を行う必要があります。
登記申請にあたり、以下の必要書類を管轄の法務局へ提出することによって、会社設立が成立することになります。
・設立登記申請書
・認証済みの定款
・代表取締役の印鑑証明
・代表取締役の就任承諾書
・払い込みがあったことを証する書類

上記の他に、その会社の定款に記載されている内容によっては必要な書類がありますが、一般的なものが上記記載のものとなります。

税理士へ依頼するタイミング

会社設立の際に税理士へ依頼するタイミングは下記タイミングが挙げられます。

・会社設立前に依頼
会社設立前に税理士へ依頼するタイミングとしては、上述したように会社設立時には必要書類の準備など、事務手続きが多く、本業に集中したい経営者の場合、税理士へ依頼すれば設立時に必要な手続きを行う必要がなくなります。

また、経営者によっては設立時に融資を受けようと考えることも挙げられます。
融資を受けるにあたり、金融機関へ事業計画書の提出が必要となり、事業計画書の作成などといったサポートを税理士から受けることも可能です。

よって、設立時の事務負担の軽減、設立時に融資を受けることを考えている場合には、税理士へ依頼することをおすすめします。

・会社設立後に依頼
会社設立後に税理士へ依頼するタイミングとしては、以下の内容が挙げられます。

①会計データの入力を依頼する場合
日常の会計取引を入力するにあたり、会計の知識が乏しい経営者の場合、会計データの入力に時間と労力を多く費やす事が想定されます。

会計データの入力を税理士へ依頼することにより、本業に集中する事ができる上、正しい処理で会計データが出来上がるため、そのような考えを持つ経営者は税理士へ入力依頼することをおすすめします。

②節税対策や税務関係書類の提出を依頼する場合
会社設立後、決算期を迎えるにあたり1年間の業績を集計し、その結果を基に税金を納めることになります。
税金を計算する申告書の作成は、素人には難しく、税理士に依頼することが一般的です。

また、事業を進めていくにつれ、利益が多く出るようになると、どのように税金を低く抑えることが出来るか、節税対策を考えるようになります。

節税対策として、役員報酬の増額、固定資産の購入など、様々な方法があります。

節税対策を検討するにあたり、税理士へ依頼することが必要不可欠になってきます。

結論

会社設立にあたり、設立までの流れや必要書類、さらに会社を設立した場合、税理士へ依頼するタイミングについて解説しました。

会社設立は、節税対策だけでなく、融資を受けるにあたっても有利となり、これまで個人事業主として事業活動をしていた人が規模の拡大により、会社設立をするケースも多く見られます。

今回のテーマがこれから会社設立を考えている人の参考になれば幸いです。