066 延滞税・加算税ってなに?

2023年5月23日

近年、会社員の方が副業を始めたり、フリーランスなど個人事業主として働く人が増えています。
その場合、会社員であれば勤務先の会社が年末調整を行ってくれるので確定申告をする必要はないのですが、副業での収入が20万円を超える場合や個人事業主などは自分で確定申告をする必要があります。
そもそも、なぜ税金を支払わないといけないのかということになりますが、日本で生活していく上で国民の安全を守る警察・消防や、道路・水道の整備など国民に役立つ活動や、年金・医療・福祉・教育などの社会での助け合いのための活動をしていくためには多額の資金が必要となります。
これらの活動を行って社会を支える為に国民がお金を出す、いわば社会生活をしていくのに必要な会費といえます。
その会費を支払うにあたり真面目に支払っている人と支払っていない人がいると国民の間で不公平が生じてしまいます。
そこで、今回は確定申告をしないと税務調査が入った際に罰則として支払うこととなる、延滞税や加算税について解説していきたいと思います。

附帯税とは

延滞税や加算税について具体的に解説する前に、まずは附帯税について説明します。
附帯税とは、法人税や所得税、消費税などの事業をしていくうえで本来支払うべき税金(以下「本税」と言います。)以外の税金のことを言います。
この附帯税には、大きく3つのカテゴリーに分けることができ、今回解説する「延滞税」、「加算税」、「利子税」の総称です。

延滞税ってなに?

延滞税とは、納付期限に遅れた場合に課される税金になります。
一般的に、フリーランスなどの個人事業主の場合には1月1日から12月31日までの1年間(以下、「暦年」と言います。)の収支の差額である所得に対して課される所得税を、法定納期限である翌年3月15日までに納付する必要がありますが、この法定納期限までに納付することが出来ない場合に、延滞税が課されることになります。
法人の場合には、その法人の決算月の2カ月経過後が法定納期限となり、その法定納期限までに利益に対して課される法人税を納付出来ない場合には、延滞税が課されることとなります。
その他に、税務調査が入り修正申告書を提出することになった場合や更正または決定の処分を受けた場合で、本来納税すべき税額に比べて不足税額があった際にも延滞税が課されることになります。
延滞税の割合としては、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて以下の割合によって延滞税が課されることになります。
令和4年1月1日から12月31日までの期間においては、法定納期限の翌日から2カ月経過する日までの場合には、年2.4%となっております。
なお、法定納期限の翌日から2カ月経過した日以後の場合には、年8.7%となっております。

加算税ってなに?

加算税とは、本税を適正に計算されていない申告を行った場合や源泉徴収義務を法定納期限までに納付しなかった場合に課される税金であり、以下4種類の加算税が挙げられます。

1 過少申告加算税

過少申告加算税とは、本税の確定申告を法定納期限内に申告はしたが、本来納めるべき納税額より少なかったために修正申告や更正によって、追加の納税額が発生した場合に課される税金です。
過少申告加算税の税率は、追加の納税額に対して10%が課されることになります。
また、期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分に対しては15%が課されることになります。

2 無申告加算税

無申告加算税とは、法定納期限までに確定申告をせず、さらに本来であれば納付すべき税額があった場合に課される税金となります。
ただし、法定納期限から1カ月以内に自主的に確定申告を行い、納付すべき税額を納め、過去5年で無申告加算税や重加算税を課税されたことがなく、当初期限内申告をする意思があったと認められる場合には、この無申告加算税は課税されません。
無申告加算税の税率は、追加の納税額の50万円までに対しては15%が課されることになり、50万円を超える税額に対しては20%が課税されます。
なお、税務署から指摘される前に納付した場合には5%の税率となります。

3    不納付加算税

不納付加算税とは、源泉徴収等による源泉所得税を法定納期限までに支払わなかった場合に課される税金となります。
不納付加算税の税率は、納税額の10%が課されることになります。
ただし、税務署から指摘される前に納付した場合には5%の税率となります。

4 重加算税

重加算税とは上記3つの税金が課される前提として、事実の全部又は一部を仮装・隠蔽により確定申告を行ったと認識された場合に課される税金になります。
重加算税の税率は、過少申告加算税や不納付加算税の代わりに追加納税額の35%が課されることになります。
また、無申告加算税が課されることになる場合には、無申告加算税の代わりに追加納税額の40%が課されることになります。

結論

確定申告しなかった場合のペナルティである延滞税と加算税について解説しました。
最近では東京国税局が「ウーバーイーツジャパン」に対して配達員の住所、氏名、報酬額、銀行口座などの情報提供を求めたというニュースも出ており、フリーランスなどの個人事業主に対しても調査が入る可能性が高くなっております。
延滞税や加算税などのペナルティを支払わないためにも毎年しっかりと確定申告を行う必要があります。