080 金投資の税金

2023年6月6日

1999年に1g当たり1000円足らずだった金地金は、その後上昇を続け今年(2023年)に入って1万円に迫る勢いです。
そんな金投資の方法には、大きく分けて現物取引と投資信託、先物取引の三つあります。

⒈現物取引

金現物取引(金地金や金貨)の売却(譲渡)による所得は、譲渡所得に該当します。
ここでの譲渡所得の金額は、総収入金額から取得費と譲渡費用の額を引き(控除し)、その残額から特別控除額(最大50万円)を控除して求めます。

⑴短期と長期

譲渡所得の金額は、所有期間5年以下の短期と5年超の長期にいったん分けて計算し、税金を計算する上で長期を½にして合わせます。また、特別控除額の控除順序は、短期⇨長期です。

⑵取得費と譲渡費用

取得費は購入代金に購入手数料などの購入のために要した費用の額を加算した金額、譲渡費用は仲介手数料などの譲渡に際して直接要した費用です。

⑶損失

金現物取引の譲渡による譲渡所得の赤字(損失の金額)は、その年の他の譲渡所得(総合課税)の黒字(金額)と相殺(通算)できます。

⑷総合課税

金現物取引の譲渡による譲渡所得は、その金額に応じて税率15.105%~55.945%により、給与所得などと合わせて課税されます。

⒉投資信託

金投資信託で利益を得る手段には、投資信託自体(受益権)の譲渡と収益の分配の二つあります。

⑴譲渡所得

金投資信託の受益権の譲渡による所得は、譲渡所得に該当します。
ここでの譲渡所得の金額は、総収入金額から取得費と譲渡費用の額、それに負債の利子の額を控除して求めます。

⑵配当所得

金投資信託の収益の分配に係る所得は、配当所得に該当します。
その金額は、収入金額から借入金(負債)の利子の額を控除して求めます。

⑶申告分離課税

金投資信託の受益権の譲渡による譲渡所得や収益の分配に係る配当所得は、原則としてその金額に対して税率20.315%により、給与所得などと分けて課税されます。

⒊先物取引

先物取引は先に物の価格を決めて売買を行う取引です。
金先物取引の差金決済による所得は、雑所得に該当します。差金決済は現物の受け渡しをせずに、反対売買の差額(差金)の決済のみを行う方法です。
金先物取引の差金決済による雑所得の金額は、総収入金額から必要経費を控除して求めます。また、その金額に対して税率20.315%により、給与所得などと分けて課税されます。

⒋確定申告不要

会社員など(給与所得者)の給与等の金額が2000万円以下という前提条件はありますが、次の所得など(給与所得及び退職所得以外の所得)の合計金額が20万円以下の条件を満たすと、原則として確定申告する必要がないため所得税は実質非課税です(住民税の申告は必要です)。
・金現物取引の譲渡による譲渡所得
・金投資信託の受益権の譲渡による譲渡所得
・金先物取引の差金決済による雑所得