083 確定申告の流れと必要書類

2023年6月9日

売上規模が1,000万円を超えている個人事業主や法人の場合、一般的には顧問税理士を雇っている為、確定申告は税理士へ依頼しているのが通常です。
しかし、最近ではフリーランスや副業などを始める人が多く、売上規模がそれほど多くない場合でも確定申告をする必要がある人は増加しております。
税金の知識がない人の場合、確定申告とはそもそも何なのか、どういった流れでする必要があるのか、必要な書類は何があるのかといった疑問が多くあると考えられます。
今回は、確定申告の流れと必要書類について、上記のような人が少しでも疑問を解消できるように解説していきたいと思います。

◆確定申告の流れ

確定申告の流れについて、そもそも確定申告とはどういったものを指すのかという点について解説していきます。
確定申告とは、事業で稼いだ収入から経費を差し引いた儲けに対する税金は、自ら計算して国に申告するとともに、その税金を納める必要があります。
この申告・納税の手続きを確定申告と言います。
ここでいう儲けとは、1月1日から12月31日の1年間で集計を行ったものを言います。
確定申告の流れは概ね、以下の手順を踏んで行います。

1 決算処理を経て帳簿を締め切る。
2 帳簿を基に決算書を作成する。※
3 所得控除などに必要な資料を収集する。
4 2と3に基づいて確定申告書を作成し、所轄の税務署へ提出する。

※2より決算書を作成するにあたって注意点
① 固定資産と減価償却費について
青色申告をしている場合は、30万円未満の機械や備品などは経費として計上できますが、30万円以上のものは固定資産として資産計上して、減価償却が必要になります。
消耗品費などの元帳をざっと見直して、30万円以上のものがないかをチェックする必要があります。

②家事按分について
自宅を事務所にしている人や、自家用車を仕事でも使用している人は家事按分が必要になります。按分比率を会計ソフトに入れておけば、プライベートの部分と、仕事の部分に分けて仕訳を作ってくれます。
按分する対象とした地代家賃や水道光熱費、通信費などの経費がもれなく入力されているかどうか、それぞれの経費ごとに按分比率を正しく入力したかチェックする必要があります。

以上が確定申告の流れとなります。なお、作成した確定申告書は翌年3月15日までに所轄の税務署に提出し、その確定申告書で計算した税金を、申告期限と同様3月15日までに納税する必要があります。
税金は納付書を自分で作成し、最寄りの金融機関又は税務署窓口にて納付する必要があります。
確定申告書を提出したからといって、税務署から納付書等の通知が届くわけではありません。納付が遅れた場合には延滞税というペナルティが課せられるため注意が必要です。納税方法には他に振替納税の手続きにより、銀行口座からの自動引き落としも選択することが可能です。

◆確定申告の注意点

確定申告書を作成する基になった帳簿や決算関係書類については7年間保存することが義務付けられております。
申告が終わったからといって、過去の申告書を廃棄したり、帳簿書類の内容にいい加減なものがあった場合には、税務調査において確定申告の内容が正しいかどうかの根拠を提示できないため、税務署側の推定計算による追徴課税が行われたり、青色申告の取り消しを受けることになります。
また、確定申告の内容に誤りがあり、納める税金を少なく申告していた場合には、過少申告加算税が課せられます。
税金を過少に申告していたことが、取引の隠蔽や仮装などの不正行為によるものと判断されると、重加算税が課せられるとともに青色申告が取り消される場合があります。
その他、確定申告の義務があるのに申告しなかった場合には、無申告加算税が課せられます。
適正な確定申告を行わなかった場合には、このような各種ペナルティが課されるため注意が必要になります。

◆確定申告に必要な書類

確定申告に必要な書類は、個人事業主や法人によっても多少変わってきます。
また、個人であってもどういった所得があるのかなどによって様々なので、ここでは個人事業主を例として一般的に必要な書類を紹介します。
一般的には以下の書類が必要になります。
・マイナンバーや運転免許証などの本人確認書類
・確定申告する項目に応じた書類(収入や経費などの領収証、ふるさと納税などの寄付金控除証明書、医療費の領収証)
・給与所得がある場合には、給与所得の源泉徴収票
・保険の控除証明書など

必要書類についてはどういった内容の所得があるのかによっても様々なので、不明な場合には税務署や税理士へ問い合わせることが一番スムーズな方法になります。

◆結論

確定申告の流れや必要書類について解説しました。
確定申告の流れとしては、収入から経費を差し引いた儲けを計算して、その後、所得控除などがある場合にはそれらを控除して納税額を算定し、税務署へ申告書の提出と納税を済ませるといった流れになります。
必要書類については、所得の種類によって各人で様々なので、その点については税務署や税理士へ問い合わせるのが間違いもなく、スムーズに準備することが出来ます。
確定申告を忘れると延滞税などのペナルティもあるので、納付漏れのないように期限内での納付を心掛けるようにしましょう。