089 法人の種類と設立方法

2023年6月15日

個人事業主が節税対策として法人成りを検討する事があります。
日本は法人の種類が株式会社を始め、合同会社や一般社団法人、一般財団法人、NPO法人など様々な種類が挙げられます。
今回は法人の種類を紹介するのとともに、株式会社を例に挙げて設立方法を解説したいと思います。

◆法人の種類

法人の種類は上述したように様々なものが挙げられます。
なお、一般的に会社設立を考える場合、株式会社か合同会社を選択することが多いです。
合同会社と似たようなものとして、合資会社や合名会社が挙げられます。
合資会社や合名会社は、株式会社や合同会社とは異なり、出資した金額以上の責任を負う無限責任となります。
よって、有限責任である株式会社や合同会社とは異なるため、一般的に合資会社や合同会社を設立することは考えにくいのでここでは合資会社と合同会社については説明を省略します。

以下では代表的なものを解説していきます。
・株式会社
株式会社は会社に資金を出資し、株を所有している株主と経営を実施する代表取締役で構成されています。
会社の所有者である株主は役員自体を株主総会で決め、経営に関することは代表取締役などが決定するため、所有と経営が分離している事が特徴になります。

・合同会社
株式会社とは異なり、所有と経営が分離していないものが合同会社といいます。
合同会社の場合、出資者がそのまま経営者になり、出資者は社員と言います。
一般的には社員というと従業員という意味を指しますが、合同会社の社員とは、出資者であることを指します。

・一般社団法人
社団法人は、一般社団法人と公益社団法人に分けられます。
公益社団法人は、法人税の計算において収益事業にしか課税されないなどの優遇が受けられます。
この公益社団法人以外の法人を一般社団法人と言います。
一般社団法人とは、人が集まることにより法人格が与えられるものであり、設立にあたって設立者が1名以上は必要となり、更に理事3名、監事1名、評議員3名が必要となります。

・一般財団法人
一般財団法人とは、ある目的のために集められた財産に対して法人格が与えられるものです。
一般財団法人の場合、300万円以上の財産を拠出し、その財産を基に事業を継続していきます。
一般財団法人を例に挙げると、博物館や美術館等が一般財団法人に該当します。

・NPO法人
NPO法人とは特定非営利活動法人といい、利益を得ることを目的としない法人を指します。
この利益を得ることを目的としない活動のことを非営利活動といいます。
NPO法人の非営利活動は法律で20の活動分野が列挙されており、それらの活動に該当しないと特定非営利活動には該当しません。
この20の活動分野について、具体例が法律に記載されているわけではないため、社会通念上、常識の範囲内で判断する必要があります。

◆法人税の課税範囲

法人の種類は上述したように様々なものが挙げられます。
法人の種類がいくつかあるように、法人税の課税範囲も法人の種類によって課税される範囲が異なります。
ここでは、法人税の課税範囲について紹介していきたいと思います。
株式会社や合同会社は、営利を目的としているため、基本的に全所得に対して課税されます。
法人税率は規模にもよりますが、年間所得が800万円までは15%の軽減税率が適用され、800万円を超えると23.2%の法人税率が課税されます。
一般社団法人や一般財団法人、NPO法人などは、収益事業から生じた所得のみが課税対象となります。
法人税率についても、一般社団法人や一般財団法人などは23.2%ですが、それ以外の公益社団法人や公益財団法人などの法人税率は19%の軽減税率が適用されます。
上記で紹介した法人以外に、地方公共団体や日本放送協会などは公共法人と呼ばれており、公共法人はその公共性の高さゆえ、そもそも法人税を納める必要がないことから、法人税は課税されません。

◆株式会社の設立方法

法人の設立方法は、法人の種類によって要件や設立費用などが異なってきますが、日本で最も多い株式会社を例として設立までの流れを解説していきます。
株式会社を設立する場合には基本的には以下①から⑧までの流れとなります。
① 会社の基本事項の決定
② 類似商号の調査
③ 代表印の作成
④ 定款の作成
⑤ 公証人による定款の認証
⑥ 出資の履行
⑦ 期間の具備
⑧ 設立登記

会社設立までの上記流れについて、登記に1週間ほど、印鑑作成に数日かかりますが、その他の手続きがスムーズに済めば①から⑧までの作業は早くて2週間から3週間程度で完了します。一般的には1カ月程度をみて計画すると良いです。
なお、上記⑤の定款の認証について、設立時に作成するのは原子定款だけであって、設立以降の変更がある場合には、株主総会の特別決議で行うことが可能となります。
ただし、あまりにも作業に時間がかかりそうであるならば、司法書士へ相談し、設立作業を依頼することもおすすめします。
自分でやるとかえって時間だけを取られてしまい、肝心の本業に集中することが出来なくなってしまうので、設立登記に自信のない人は司法書士へ依頼するのが最も良い方法になります。

◆結論

今回は法人の種類と設立方法の流れについて解説しました。
最近ではフリーランスなども増加してきており、今後規模が大きくなってくると法人成りを検討してくる方も増加してくることが考えられます。
そのような場合にはどのような種類の法人を設立しようか悩むことも考えられます。
その場合には法人の種類や特徴などを調べて慎重に検討することをおすすめします。