095 青色申告の特典とは?どういったものがある

2023年6月22日

青色申告を行うことで所得の計算や損失の繰越等、さまざまな特典を受けることができます。しかしながら、そういった特典があることは知っていても「具体的にどのようなものがあるか」「自分が特典を受けた場合、どれくらいのメリットがあるか」等の疑問点が出てくると思います。
本記事では青色申告の特典内容について、具体的に記載をしていきます。

●青色申告の特典の分類と内容

青色申告の特典は、大きく分けると4つに分類されます。「所得計算上の特例」「純損失の繰越控除及び繰戻し還付」「税額控除等」「更正の制限」となります。本記事では、「所得計算上の特例」に焦点をあてて、記載をしていきます。

・青色申告特別控除

青色申告書を提出することで、最も有名かつ効果的なものが「青色申告特別控除」です。「青色申告特別控除」とは、青色申告を行っていれば、最低10万円、最高65万円の控除を受けれるというものです。最も高い金額の65万円の控除を受けるためには、以下の2点の要件を満たす必要があります。

1事業所得または事業規模の不動産所得を有し、かつ、帳簿に一切の取引を詳細に記録していること
2申告をe-taxで行っているか、仕訳帳及び総勘定元帳を電磁的記録の備付け等をしていること

1のみを満たした場合は、55万円の控除となります。1を満たしていない場合は、10万円の控除となります。

65万円の特別控除というのは、経費を65万円使用したことと同じなので、節税効果があります。青色申告の適用を受けるのであれば、ぜひとも享受したいものとなります。

・青色事業専従者給与の必要経費算入

青色申告者で生計を一にする親族を従業員としている場合、その親族に支払った給与等を必要経費とすることができます。原則では、生計を一にする親族に対して支払った給与等は必要経費に算入をすることができません。しかし、青色申告者で事前に届け出を行っている場合は、給与等を必要経費に算入することができます。

・家事関連費の必要経費算入

自宅兼オフィス等、家事と事業が混同している場合、白色申告者は、主たる部分(50%超)が業務の遂行上必要ですが、青色申告者は、主たる部分(50%超)が必要でなくても、業務の遂行する割合等で必要経費に算入することができます。例えば、自宅兼事務所で固定電話を使用している場合、青色申告者であれば、固定電話の全体の10%を使用していれば、電話代金の10%を必要経費とすることができます。一方、白色申告者の場合、固定電話の50%超を業務で使用している必要があります。ただし、回線を独立させるなど、明らかに区分ができる場合は、必要経費に算入することができます。

・その他の特典

上記以外にも「貸倒引当金の一括評価貸倒引当金」の必要経費算入、「棚卸資産の低下法による評価」「減価償却の特別償却」等があります。売掛金等の債権が多額である場合や棚卸資産・固定資産がある場合は、これらの特典も有効活用できるでしょう。

●まとめ

本記事では、青色申告の特典について記載をしました。青色申告を選択することにより、青色申告特別控除を始め、さまざまな特典を受けることができます。特に65万円の特別控除のメリットは大きく、青色申告者であれば、享受したいものとなります。このように、青色申告の特典を知ることで、正しく節税を行うことができます。ぜひ知識を身につけておきましょう。