102 給与よりも税制優遇がある退職所得の制度

2023年6月29日

会社員が勤務をすることで得る所得は、給与所得と退職所得があります。
給与は毎月毎年支給される一方、退職金は、原則として退職時、つまり一つの会社で一度しか支給されないものです。
では、給与と退職金の税金の扱いの違いとは?どちらが税制面で優遇をされているのか、本記事では、退職所得を中心に給与と比較しながら、記載をしていきます。

●退職所得の詳細

退職所得とは、退職により一時に支払いを受ける所得をいいます。退職所得の計算方法や趣旨について記載いたします。

・退職所得の計算方法

退職所得の金額は、勤続年数により変動します。結論、勤続年数が長い方が控除額は多くなり、所得金額は少なくなります。
控除額は勤務年数×40万円となります。21年以上勤務をした場合は、21年目以降の控除額は、勤続年数×70万円となります。つまり、21年勤務した場合、40万円×20年+70万円×1年=870万円となります。

・退職所得の計算例

30年勤務した会社を退職し、1500万円の退職金を支給されたとします。この場合の計算方法は次のとおりとなります。

収入1500万円 − 控除 1500万円(20年×40万円 + 10年×70万円)=0円 ×1/2

つまり、所得は0円となるため、退職所得に対する課税はありません。税金がかからないということは、1500万円が丸ごと手取り金額となります。
さらに、上記計算では0円であるため、効果はありませんが、仮に収入>控除だとしても、残額が1/2されるため、こういったところでも税制の優遇があります。
もし、給与で1500万円支給された場合、所得控除は195万円のため所得は1305万円となります。この所得に対し、税金がかかります。10%の税率でも130.5万円となります。決して安い金額とはいえないでしょう。
このように退職所得は税制面のメリットが大きいものとなります。

・なぜ、メリットが大きいのか

退職金というのは、長年勤務をした功労に報いるため、また、退職金は、老後の生活資金に充てられるものでもあります。こういったものに対し、多額の税額を課すことは、心情的によくないからです。
せっかく、長年勤めて、退職金をもらったのに、大部分が税金で消えてしまった。ということにならないために、退職所得には、課税の特例があります。

●まとめ

本記事では、退職所得について記載をしました。退職所得というのは、非常に税制のメリットが高いものとなります。
勤務している会社に退職金制度があるかないかを再度確認し、あるのであれば自分はどれくらい退職金がもらえ、どれくらい課税されるかを想定しておくのも、将来のマネープランとして必要であるといえるでしょう。