120 配偶者控除・扶養控除が受けれなくラインとは
2023年7月18日
個人の確定申告をする場合、収入から経費を差し引いた所得を基に、納めるべき所得税額を計算します。
この所得税額を計算するにあたり、所得控除というものがあります。(税額控除もありますが、ここでは説明は省略します)
所得控除はいくつかの種類に分類されており、適用要件も種類によって様々です。
今回は所得控除の中でも、配偶者控除と扶養控除にスポットを当てて解説していきたいと思います。
◆所得控除とは
所得控除とは、各人の事情を加味して公平な税負担を確保するために設けられた制度になります。
現在、所得控除の種類は15種類あり、下記内容のものが挙げられます。
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・障害者控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除
・雑損控除
・医療費控除
・寄附金控除
今回は配偶者控除と扶養控除について解説していきます。
配偶者控除とは、その年の12月31日において下記内容を満たしており、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下である場合に受けられる所得控除になります。
① 民法の規定による配偶者であること。すなわち婚姻関係を結んでいる夫婦であること。
② 夫婦で生計を一にしていること。
③ 年間の合計所得金額が48万円以下であること。(給与のみの場合は、給与収入が103万円以下)
④ 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。
上記要件を満たした場合には、控除を受ける納税者本人の合計所得金額、および控除対象配偶者の年齢によって、一定の金額が所得控除として受けられます。
次に扶養控除について解説します。
扶養控除とは、配偶者以外の子供や両親などを扶養に入れている場合に適用を受けることができる所得控除になります。
扶養控除の対象となる人の要件としては下記内容が挙げられます。
・12月31日時点で年齢が16歳以上であること
・納税者と生計を一にしている。(1人暮らしをしているため、仕送りを送っている子供も対象になります。)
・年間の合計所得金額が48万円以下であること
・青色事業専従者に該当していないこと
・他の人の扶養に入っていないこと
以上の要件を満たしている場合には、年齢や同居しているかどうかによって、扶養控除として納税者本人に対して38万円から63万円の範囲内で所得控除の適用を受けることが可能となります。
◆ 配偶者控除・扶養控除が受けれないラインとは?
・配偶者控除及び配偶者特別控除について
配偶者控除は上述したように、適用要件を満たした配偶者であることが必要となります。
配偶者が給与収入のみという事を前提とした場合、年間の合計所得金額48万円というのは給与収入の場合、103万円ということになります。
すなわち、給与収入103万円以下である場合に配偶者控除の適用を受けることが出来ます。
ただし、この配偶者控除は税制改正によって2018年1月以降は、世帯主である納税者本人の年収によって控除額が変更となりました。
一般の控除対象配偶者と70歳以上の老人控除対象配偶者とでも控除金額は変わりますが、以下では一般の控除対象配偶者を前提に解説します。
控除を受ける世帯主の合計所得金額が900万円以下の場合には、38万円の配偶者控除の適用を受けることができます。
世帯主の合計所得金額が900万円超950万円以下の場合には、26万円の配偶者控除の適用を受けることができます。
世帯主の合計所得金額が950万円超1,000万円以下の場合には、13万円の配偶者控除の適用を受けることができます。
このように世帯主の所得が増えれば増えるほど、段階的に控除額が引き下げられるようになっております。
なお、世帯主の合計所得金額が1,000万円超の場合には配偶者控除の適用を受けることが出来ません。
・扶養控除について
扶養控除とは上述したように、配偶者以外の生計を一にしている子供や親などを扶養に入れている場合に受けられる所得控除です。
給与収入のみを前提として、年間の合計所得金額48万円以下が扶養控除の適用要件となっております。
この合計所得金額48万円というのは、給与収入が103万円ということになります。
したがって、扶養控除の適用を受けるためには扶養控除の対象となる被扶養者の収入が103万円以下であれば扶養控除の適用を受けることができます。
逆に言えば、103万円を超えてしまう場合には扶養控除の適用を受けることが出来ないという事になります。
◆社会保険との関係
社会保険の場合にも一定金額以下の場合には、社会保険料が免除されることになっております。
配偶者や扶養者がアルバイトやパートなどにより働いている場合、年間の収入が130万円以下である場合には配偶者や扶養者自らは社会保険料を納める必要がなく、世帯主の健康保険に加入することができます。
一般的に「社会保険の壁」と言われておりますが、そのボーダーラインが給与収入130万円となります。
ただし、厚生年金の被保険者数が501人以上である事業所に勤務している場合や、雇用契約期間1年以上であり、週に20時間以上働いており月収88,000円を超えて働いている場合には、勤務先の社会保険へ加入する必要があるため、アルバイトやパートであっても勤務先で社会保険については事前に確認しておく必要があります。
◆結論
以上、配偶者控除と扶養控除の適用の範囲内について解説しました。
また、社会保険の免除されるラインについても触れました。
世帯主の所得が1,000万円以下である場合には、扶養控除や配偶者控除の適用を受けることが出来ますので、上記ケースに該当する場合には是非適用を受けられるような働き方をして頂き、不明な点があれば、勤務先や管轄税務署、税理士などにも相談してみることをおすすめします。