153 領収証の保管方法
2023年8月29日
会社の経理を行うにあたって、領収証やレシート、請求書等の書類は、保存義務があることはもちろん、資金の流れを把握するために非常に重要なものであるため、普段から整理しておくことが重要となります。
今回は、領収証やレシートの管理方法について解説していきたいと思います。
◆領収証の保存期間
領収証や請求書等は一定の期間、保存することが義務付けられております。
会社の経理業務として欠かせない、請求書、領収証、レシート等といった書類の管理は、法律において一定期間保存することが義務付けられております。
その保存期間については、法人の場合と、個人事業主なら青色申告と白色申告のどちらを選択しているかによって異なってきます。
請求書や領収証、レシート等の保存期間について法人と個人事業主の場合については以下の通りです。
・法人の場合
原則として7年間の保存が必要となってきます。
なお、欠損金がある場合の保存期間は9年となっております。
ただし、2015年度における税制改正によって、2017年4月1日以後に開始する欠損金額の生ずる事業年度においては、領収証を含む帳簿書類の保存期間は10年間に延長されています。
・個人事業主の場合
青色申告の場合だと7年間の保存が必要となります。
ただし、領収証・請求書以外の注文書や納品書等の場合には保存期間は5年となります。
また、白色申告の場合には5年間の保存が必要になってきます。
◆領収証の管理方法
管理方法は自分に合ったやり方で領収証・レシートの保管方法
領収証やレシートは、一枚一枚は薄く小さな書類ですが、1年経つと結構な量になってくるものです。
それだけに、整理せずに放置しておくと、後で山積みの書類を前にして大変な思いをしてしまう可能性があります。
そのようにならないために、日常的にある程度整理しておくことがおすすめとなります。
そのように分かっていても、多くの事業主は日々忙しいため、領収証を整理する時間を長く取るのは現実問題として厳しく、また、これらの書類は確定申告が終わった後は、自分が確認したいと思った時や税務署の調査が入った場合を除けば、利用することはほぼないでしょう。
そのため、領収証を使う時に右往左往せずに済む程度に、月別、費目別等でおおまかに整理しておくことをおすすめします。
領収証を月別に分けておくと、後から特定の取引について内容を確認したくなった時に、比較的探しやすいというメリットがあります。
また、費目別に分けておくと、費用毎にかかったボリュームも把握しやすく、会計ソフトに続けて入力しやすくもなります。
領収証等の保管例として、下記の保管例を挙げますのでご参考になれば幸いです。
➀封筒に月別、費目別等でまとめて保管する
月別、費目別等、専用封筒をいくつか用意して、領収証やレシートをもらったら、封筒に入れておく方法になります。
しかし、この保管方法は枚数が多いと封筒から出し入れする際に乱雑になってしまったり、うっかり落としてなくしたりしてしまう恐れがあるので、ホッチキスで止める、沢山入る大きめの封筒を使うといった工夫も必要になります。
②領収証やレシートをその都度、専用のノートに貼り付けていく方法
封筒のように出し入れすることがないので、こちらの方が紛失等のリスクは低いです。
また、作ったノートを開いてページをめくると、いつどこでどういった内容のお金が動いたかを順を追って確認することが出来るので、経費の流れも把握しやすいのも特徴です。
しかし、貼り付けたレシートが剝がれないように、糊付けをきちんとしておく必要があります。
③ファイリングをして収納する方法
最近は、領収証保管に特化したファイルが出てきているので、ファイルにまとめておくのもおすすめの方法になります。
いわゆる専用ファイルだけでなく、クリアファイルに分けて入れておいたり、ファイルボックスを使って収納したりするのもおすすめです。
ファイルに月や科目のインデックスをつけておけば、確認がさらにしやすくなります。
◆請求書の保管方法
領収証やレシートとともに、大事な業務上の書類である請求書です。
請求書も一定期間の保管をしなくてはいけませんが、管理方法として一般的なのは、月別あるいは得意先別に分けておく方法になります。
この方法は、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。
➀月別に管理する場合
・メリット
月間の仕事やお金の流れが把握しやすい。
その月に発行されたものをまとめればいいので、分類する手間が少ない。
・デメリット
取引先が多い場合、特定の会社の請求書を探しだす時に時間を要する。
②取引先別に管理する場合
・メリット
各取引先とのお金の流れを把握しやすい。
・デメリット
請求書を定期的に分類する手間がかかる。
また、月間でのお金の流れが把握しにくくなる場合もある。
請求書の保存方法については、どちらがより正しいということはありませんので、月間の請求額を把握したいのなら月別、取引先毎の状況を把握しておきたいなら取引先別等、自分が作業しやすい形で管理することが良いです。
◆感熱紙レシートの文字消えの対策方法
上述したように、レシートや領収証の保存期間は5年間または7年間の保存期間が必要になります。
しかし、ここで問題となるのが感熱紙レシートです。
最近のレシートは感熱紙であることが多く、時間がたつと印字が消えてしまうことがあります。
そのため、感熱紙のレシートをもらった場合は、印字が薄くなってしまっても経費であることを証明出来るように、下記方法によって印字が消えても大丈夫なように対策しておくことをおすすめします。
・レシートの余白に金額や購入日、支払内容等を書いておく。
・レシートをコピーしておく。
・レシートをスキャンして電子保存しておく。
・レシートをデジカメ、スマートフォンで撮影しておく。
経費の証明については、レシートなどの現物書類以外は経費とならないということではなく、レシートのコピーを保存しておくことで問題ないです。
ただし、出来る限り熱や光のない場所に保管しておいたり、印刷が薄くなったり消えている原本も一緒に取っておくべきです。
また、2015年の税制改正によって、それまで3万円未満のものでしか出来なかった領収証やレシート、請求書等のスキャナーでの保存が3万円以上のものでも可能となり、電子署名の付与も不要となりました。
さらに、2016年の改正で、税務署へ事前にその旨を申請しておけば、領収証やレシートをデジカメやスマートフォンで撮影した画像データで保存することも可能となりました。
◆結論
領収証の保管方法や保存期間について本稿で解説してきました。
また、今後は電子帳簿保存法の改正によって電子での保存が義務付けられてきます。
上記の感熱紙レシート対策、さらに紙で保存する手間やコストの削減という観点から、今後は、紙だけでなく電子保存ということを積極的に管理方法として取り入れていくべきです。