156 個人の青色申告と法人の青色申告の違いとは?
2023年9月2日
個人も法人も青色申告制度はあります。青色申告の趣旨は、「納税者への記帳の推奨」となります。正しい記帳をおこない、正しい決算書を出すことにより、税務上いくつもの特典を受けることができます。
青色申告は、個人も法人もあります。では、「個人と法人の特典や制度の違いは?」という疑問点が出てくると思います。
本記事では、青色申告の個人と法人の違いについて記載をします。
●法人と個人、それぞれのメリットがある。
青色申告の適用を受けるためには、正確な記帳や事前承認制という点では、個人も法人も同じです。ただ、受けることができる特典については、共通点、相違点があります。以下、詳細を記載します。
・個人だけのメリット、青色申告特別控除
個人の青色申告には、青色申告特別控除があります。これは、最低10万円、最高65万円を事業所得、不動産所得、山林所得から控除をすることができるというものです。
事業所得の場合は、55万円か65万円になりますので、経費を使用せずに、所得を控除できるという点は、大きなメリットです。
一方、法人には、このようなメリットはありません。
・法人のメリットは、損失の繰越期間が長いこと
法人の青色申告のメリットは、繰越欠損金の控除期間が10年(平成30年3月31日以前事業開始年度は、9年)あることです。
所得税の損失の繰越は、3年であるため、法人の方が長い期間、欠損金の繰越ができます。
たとえば、9年間赤字が出続けて、10年目に大きな黒字が出ても、過去の赤字と通算ができれば、法人税負担を緩和することができます。
・個人と法人の共通項目
個人と法人の青色申告には、共通する項目もあります。代表的なものが、少額特例資産です。
少額特例資産とは、1つ30万円未満の備品等であれば、取得した期において、経費にできるというものです。
本来であれば、10万円以上20万円未満であれば、一括償却資産となり、3年で償却されます。
また、20万円以上であれば、固定資産となり、減価償却の対象となります。減価償却の対象となると、資産の管理等の手間が増えてしまいます。
少額特例資産の制度を使用すれば、30万円未満であれば、減価償却対象とせず、経費にできます。ただし、年間300万円までという制限はあります。
・届け出の提出時期の違い
青色申告をおこなうためには、税務署に届け出を提出する必要があります。
個人であれば、その年の3月15日(事業開始年の場合は、事業開始日から2か月以内)までなので、課税期間中の提出になります。
一方、法人の場合は、課税期間開始の日の前日(新設法人の場合は、設立から3か月以内)までとなります。
法人は、提出期限が早めになりますので、注意をしましょう。
●まとめ
本記事では、個人と法人の青色申告の特典の違いや共通点について記載をしました。
個人も法人もそれぞれメリットがありますので、青色申告の適用を受けていない方は、ぜひ適用を受けてみてください。
青色申告は、節税効果と記帳習慣を身につけることができ、一石二鳥の制度といえます。