078 仮想通貨投資の税金

2023年6月4日

一昨年(2021年)に過去最高の700万円台を記録したビットコインですが、去年には200万円台まで暴落しました。今年に入って300万円台に回復してきましたが、含み損を抱えている方も多いと思います。
そんな貴方に「朗報」です。損失をいくらか取り返せるかもしれません。

⒈雑所得

仮想通貨の売却(譲渡)による所得は、原則として雑所得に該当します。
その金額は、総収入金額から必要経費を引いて(控除して)求めます。
また、次のケースでも仮想通貨の譲渡による雑所得の認識が必要です。
・仮想通貨で商品を購入
・仮想通貨を別の仮想通貨に交換

⑴総収入金額と必要経費

ここでの総収入金額は譲渡価額、必要経費は取得価額(購入代金に購入手数料の額を加算した金額)や譲渡手数料などです。

⑵損失

仮想通貨の譲渡による雑所得の赤字(損失の金額)は、その年の他の雑所得(総合課税)の黒字(金額)と相殺(通算)できます。

⑶総合課税

仮想通貨の譲渡による雑所得は、その金額に応じて税率15.105%~55.945%により、給与所得などと合わせて課税されます。
具体的には、課税総所得金額(=給与所得などの金額+雑所得の金額-所得控除額)×税率-控除額で計算します。
・所得税などの速算表(筆者作成)
課税総所得金額 税率 控除額
195万円未満 15.105% 0円
195万円以上330万円未満 20.21% 99,547.5円
330万円以上695万円未満 30.42% 436,477.5円
695万円以上900万円未満 33.483% 649,356円
900万円以上1800万円未満 43.693% 1,568,256円
1800万円以上4000万円未満 50.84% 2,854,716円
4000万円以上 55.945% 4,896,716円

⒉事業所得

国税庁の情報に、仮想通貨の譲渡による「収入金額300万円超で帳簿書類の保存があれば、原則として事業所得に該当する」と明示されました。これが冒頭で言った朗報です。
仮想通貨の譲渡による所得が事業所得に該当すると、損益通算や繰越控除の適用などがあります。

⑴損益通算

事業所得の損失の金額は、その年の他の給与所得などの金額と損益通算できます。

⑵繰越控除

青色申告であれば損益通算しきれなかった金額は、翌年以後3年間の給与所得などの金額から控除できます(損失発生年だけでなく、繰越している間は申告が必要です)。

⒊確定申告不要

会社員など(給与所得者)の給与等の金額が2000万円以下という前提条件はありますが、仮想通貨の譲渡による雑所得など(給与所得及び退職所得以外の所得)の合計金額が20万円以下の条件を満たすと、原則として確定申告する必要がないため所得税は実質非課税です(住民税の申告は必要です)。