077 FX投資の税金

2023年6月3日

FXは外国為替(外国通貨)の売買を、担保にした証拠金の最大25倍(国内口座)の金額で行う取引です。現物の受け渡しをせずに、反対売買の差額(差金)の決済のみを行う、先物取引の一種です。
そんなFXの差金決済には、為替差損益とスワップポイントの二つあります。為替差損益は為替相場の変動による差損と差益、スワップポイントは貨幣間における金利差調整分です。

⒈雑所得

先物取引の差金決済による所得は、原則として雑所得に該当します。
その金額は、総収入金額から必要経費を引いて(控除して)求めます。

⑴総収入金額と必要経費

ここでの総収入金額は決済取引時の売値(転売価格)、必要経費は新規取引時の買値(買建価格)です。売ってから買えば、総収入金額は新規取引時の売値(売建価格)、必要経費は決済取引時の買値(買戻価格)となります。

⑵損失

①国内口座
先物取引の差金決済(国内口座)による雑所得の赤字(損失の金額)は、その年の他の先物取引の差金決済による雑所得の黒字(金額)と相殺(通算)できます。
また、通算しきれなかった金額は、翌年以後3年間の先物取引の差金決済による雑所得の金額から控除できます(損失発生年だけでなく、繰越している間は申告が必要です)。
②国外口座
先物取引の差金決済(国外口座)による雑所得の損失の金額は、その年の他の雑所得(総合課税)の金額と通算できます。

⑵課税方法

①国内口座(申告分離課税)
先物取引の差金決済(国内口座)による雑所得は、その金額に対して税率20.315%により、給与所得などと分けて課税されます。
②国外口座(総合課税)
先物取引の差金決済(国外口座)による雑所得は、その金額に応じて税率15.105%~55.945%により、給与所得などと合わせて課税されます。

⒉事業所得

先物取引の差金決済による所得が事業所得に該当すると、「国外口座」について影響が大きく、損益通算や繰越控除の適用などがあります。

⑴損益通算

事業所得の損失の金額は、その年の他の給与所得などの金額と損益通算できます。

⑵繰越控除

青色申告であれば損益通算しきれなかった金額は、翌年以後3年間の給与所得などの金額から控除できます(損失発生年だけでなく、繰越している間は申告が必要です)。

⒊確定申告不要

会社員など(給与所得者)の給与等の金額が2000万円以下という前提条件はありますが、先物取引の差金決済による雑所得など(給与所得及び退職所得以外の所得)の合計金額が20万円以下の条件を満たすと、原則として確定申告する必要がないため所得税は実質非課税です(住民税の申告は必要です)。