079 外貨預金投資の税金

2023年6月5日

去年(2022年)の記録的な円安で米ドル建ての定期預金に預け入れて、これから満期を迎える方も多いと思います。
外貨預金で利益を得る手段には、利子と為替差益の二つあります。為替差益は為替相場の変動による差益です。

⒈利子所得

外貨預金の利子に係る所得は、利子所得に該当します。
その金額は、収入金額そのものとなります。

⑴収入金額

ここでの収入金額は利払時の対顧客直物電信仲値相場TTMで円換算した金額です。

⑵課税方法

①国内口座(源泉分離課税)
外貨預金の利子(国内口座)の支払を受ける際は、その収入金額に対して税率20.315%により源泉徴収されますが、申告はできません。
②国外口座(総合課税)
外貨預金の利子(国外口座)に係る利子所得は、その金額に応じて税率15.105%~55.945%により、給与所得などと合わせて課税されます。
なお、その利子の収入金額に対して外国所得税が課されていれば、税金を計算する上で控除対象外国所得税額(控除限度額あり)を控除します(申告が必要です)。

⒉雑所得

外貨預金の為替差益による所得は、雑所得に該当します。
その金額は、総収入金額から必要経費を引いて(控除して)求めます。
また、次のケースでも外貨預金の為替差益による雑所得の認識が必要です。
・外貨預金で不動産や有価証券を購入
・外貨を別の外貨に交換

⑴総収入金額

①為替予約あり
為替予約(定期預金)は満期日の為替レートを満期日前に予約することです。
ここでの総収入金額は元利ともに予約レートで円換算した金額です。
②為替予約なし
ここでの総収入金額は元利ともに払出時の対顧客直物電信買相場TTB(=TTM-為替手数料)で円換算した金額です。

⑵必要経費

ここでの必要経費は元金分が預入時の対顧客直物電信売相場TTS(=TTM+為替手数料)、利子分が利払時のTTMで円換算した金額です。

⑶課税方法

①為替予約あり(源泉分離課税)
外貨預金の為替差益(為替予約あり)の支払を受ける際は、その差益に対して税率20.315%により源泉徴収されますが、申告はできません。
②為替予約なし(総合課税)
外貨預金の為替差益(為替予約なし)による雑所得は、その金額に応じて税率15.105%~55.945%により、給与所得などと合わせて課税されます。

⒊確定申告不要

会社員など(給与所得者)の給与等の金額が2000万円以下という前提条件はありますが、次の所得など(給与所得及び退職所得以外の所得)の合計金額が20万円以下の条件を満たすと、原則として確定申告する必要がないため所得税は実質非課税です(住民税の申告は必要です)。
・外貨預金の利子(国外口座)に係る利子所得
・外貨預金の為替差益(為替予約なし)による雑所得