145 バーチャルオフィスで会社設立する際の注意点

2023年8月17日

近年では、新型コロナウイルスの拡大によって、これまでのような会社へ出勤して仕事をするという働き方ではなく、会社へ出勤せずに自宅でリモートワークをする人達が増加するなど、働き方が多様化してきております。
また、このような背景から会社員を辞めて、個人事業主として働く人も近年急増してきております。
上記のような理由から、個人事業主や法人成りした場合に登記が必要となるのですが、その際に登記が必要になる住所を自宅ではなく、バーチャルオフィスの住所を登記することが可能なことから、プライバシーなどセキュリティ対策として便利なバーチャルオフィスが増加してきております。
今回はこのバーチャルオフィスについて、解説していきたいと思います。

◆バーチャルオフィスとは

バーチャルオフィスとは、仕事をするにあたって、実際にクライアントと打合せをしたりするような場所があるわけではなく、個人事業主が開業するにあたって必要となる開業届へ記載するための住所や、法人設立時に提出する必要がある法人設立届出書へ記載するための住所を借りるものとなります。
通常のオフィスとの大きな違いは、実際に仕事をするようなリアルなスペースは無いという点がバーチャルオフィスの大きな特徴となります。

◆バーチャルオフィスのメリット

バーチャルオフィスを借りるメリットとしては以下の通りです。
➀都心の一等地であっても格安の料金でオフィスを持てる点
通常、千代田区や中央区、港区などといった一等地にオフィスを構える為には、高額の家賃が必要となります。
しかし、バーチャルオフィスであれば、月に2万から3万円ほどの家賃で抑えることが出来ます。
安いところであれば、数千円からでもバーチャルオフィスを利用することが可能となります。

②人件費を削減することが出来る点
通常のオフィスであれば、クライアントからの電話対応や郵便物の受け取りの為に会社へ従業員を配置し、上記対応をする必要があるので従業員に対する人件費が発生します。
しかし、バーチャルオフィスであれば、電話対応や郵便物の転送などをオプションサービスなどで対応してくれるので、通常のオフィスに比べて人件費が削減できる分、非常に経済的です。

③水道光熱費や通信費などの固定費が削減できる点
実際のオフィスを借りた場合には、家賃のほかに、水道光熱費や通信費などといった固定費が毎月発生してきます。
しかし、バーチャルオフィスであれば上記のような固定費を削減出来る点がメリットとして挙げられます。

④会議室も必要に応じてレンタル出来る点
最近では、新型コロナウイルスの流行によってクライアントとの打合わせもオンラインで行うことが多くなりましたが、クライアントによっては直接対面で話したいという人も一定数存在します。
そういった人たちの為に、バーチャルオフィスでは会議室のレンタルサービスをしているバーチャルオフィスもあるので、そのようなケースが考えられる場合には、会議室のレンタルサービスをしているバーチャルオフィスを利用することをおすすめします。

◆バーチャルオフィスの利用がおすすめな人

➀個人事業主や一人社長の法人
事業を開始して間もない個人事業主や一人社長の法人の場合、実際に仕事で利用する通常のオフィスを設けなくても自宅などで仕事を行い、住所などはバーチャルオフィスを利用する働き方も可能です。
しかし、自宅で仕事をする場合には、上述したように開業届や法人設立届出書などへ記載する住所が自宅となってしまうため、プライバシー保護という観点からバーチャルオフィスを利用した方が良いケースも考えられます。

②住所地を一等地にすることでブランド力をつけたい個人事業主や法人
上述したように、通常のオフィスを都心の一等地に設ける場合には多額の資金が必要となります。
しかし、バーチャルオフィスであれば都心の一等地であっても毎月のオフィスレンタル料が格安となるので、都心の一等地に安い料金でオフィスを設けることが可能です。
都心の一等地に住所を持つことで、クライアントからの信用力や安心感を得たいと考えている個人事業主や法人の方にはおすすめです。

③一日でも早く開業したいという個人事業主や法人
実際のオフィスを設ける場合には、物件の内覧などをする必要があるため、実際に事業を開始するまでに時間を要します。
しかし、バーチャルオフィスであればそのような時間も不要なため、一日でも早く事業を開始したい人にとってはおすすめです。

◆バーチャルオフィスの登記について

バーチャルオフィスで事業を開始する人は、しばしば、バーチャルオフィスの住所を登記することが可能かどうか不安に思う人も見受けられます。
しかし、バーチャルオフィスであっても登記は可能となりますので、心配はありません。
しかし、注意点としては、同一の住所に同じ事業者名を登記することは出来ないので、登記をする前に管轄の法務局で、類似商号がないかの確認は必要となります。
また、下記のような業種の場合にはバーチャルオフィスで法人登記は出来ないので注意が必要です。
・弁護士や公認会計士、税理士など、いわゆる士業と呼ばれている業種
・人材派遣会社や職業紹介会社
・建設会社や不動産会社
・古物商
・探偵業
上記業種の場合には、実際のスペースや一定以上の事業所の広さが必要とされており、バーチャルオフィスでは登記が出来ないので注意が必要です。

◆結論

近年、新型コロナウイルスの流行により多様な働き方が求められてきた背景から、バーチャルオフィスはコストも格安に抑えることが出来、非常にバーチャルオフィスによって事業を開始している人が増えてきております。
しかし、バーチャルオフィスによって法人登記する場合、一部認められていない業種も一定数存在しているので、バーチャルオフィスによりこれから登記していこうと考えている人は、必ず事業開始前にバーチャルオフィスについて調べる必要はあります。