161 高所得者の税金は、どのくらい高いの?

2023年9月7日

所得税には累進課税制度が採用されていることから、高所得者ほど支払う税金が多くなります。これは高所得者が節税対策に懸命になる最たる理由ですが、低所得者とはどのくらい所得に対する支払うべき税金の割合が異なるのでしょうか?
今回は所得税率についてご紹介を致します。

1累進課税制度とは

税金の徴収には「公平、中立、簡素」という三原則があります。この三原則にある公平の原則には、経済力のある人により大きな負担を求めることで垂直的公平を保つことが含まれています。支払い能力が高い担税力がある人が多額の税金を負担することが公平であるいう考え方です。

所得税に累進課税制度が採用されている理由は、この垂直的公平を保ち、貧富の格差を是正することにあります。
所得税の他にも、相続税と贈与税に累進課税制度が採用されています。

2所得税の税率

所得税は、課税所得に所得税の税率を乗じた金額から、税額控除を差し引いて計算を行います。

所得税の税率は、所得に応じて5%から45%の7段階に区分されています。つまり、低所得者と高所得者を比較すると、所得に対する税金の割合は税率でみるだけでも、最大9倍もの差があるといえます。

具体的には、下記のように定められています。
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円
※国税庁ホームページ 参照
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

国税庁が公表をしている申告所得税標本調査結果によると、令和3年分の日本の総申告納税者数は657万人、申告された総所得金額は46兆2,842億円です。このうち所得金額100万円以下の人が342千人で全体の5.2%、所得金額1億円を超える人が24千人で、全体の0.4%となっています。
この所得金額100万円以下の人の平均所得税額は9千円、所得金額1億円を超える人の平均所得税額は69,073千円です。
※国税庁ホームページ 標本調査結果 参照
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/shinkokuhyohon2021/hyouhon.htm

所得金額100万円以下の人と所得金額1億円を超える人とを比較すると、低所得者と高所得者では、税率の違い以上に金額の差が大きいことが分かります。

3まとめ

所得税率についてご紹介を致しました。所得税の最高税率は45%、住民税は一律10%であることから、合計で55%の税金を高所得者は支払う必要があります。低所得者と比較をすると納税額に大きな差がありますが、この差をもって垂直的公平を保つことができると考えられています。
このような税金の仕組みを知ると、社会の見え方が少し変わるかもしれません。ご参考になさってください。