054 個人事業主のためのインボイス制度(対策その一)

2023年5月8日

前回はインボイス制度とは何かについて説明しましたが、どうしたら良いかは「事業者の種類で異なります。」
消費税の区分では免税事業者と(簡易)課税事業者、(一般)課税事業者の三種類あります。それぞれの立場でも売り手と買い手の二種類あるため、事業者は全部で六種類です。

⒈免税事業者

免税事業者とは、次の条件を満たす事業者をいいます。
・基準期間における課税売上高が、(免税事業者は税込、課税事業者は税抜)1000万円以下などであること
・課税事業者を選択しないこと(課税事業者選択届出書を選択しようとする年又は事業年度の前日までに提出することにより、課税事業者になれます)
つまり、基準期間における課税売上高が1000万円以下の事業者などです。
⑴売り手
得意先が(一般)課税事業者であれば取引の見直しが必要です。

⑵買い手
そもそも仕入税額控除を行えないため、適格請求書の保存は不要です。

⒉(簡易)課税事業者

(簡易)課税事業者とは、次の条件を満たす事業者をいいます。
・免税事業者でないこと
・基準期間における課税売上高が5000万円以下であること
・簡易課税制度選択届出書を選択しようとする年又は事業年度の前日までに提出すること
つまり、基準期間における課税売上高が1000万円超5000万円以下の事業者などです。

⑴売り手
得意先が(一般)課税事業者であれば適格請求書発行事業者になって、適格請求書の交付と写しの保存が必要です。
また、請求書発行ソフトの購入なども必要になる可能性があります(その際はIT導入補助金の活用を検討しましょう)。

⑵買い手
仕入税額控除を行う際は、課税売上げに対する消費税額に次のみなし仕入率を掛けて、課税仕入れに対する消費税額を求めるため、適格請求書の保存は不要です。
・第1種事業(卸売業) 90%
・第2種事業(小売業) 80%
・第3種事業(製造業など) 70%
・第4種事業(飲食店業など) 60%
・第5種事業(サービス業など) 50%
・第6種事業(不動産業) 40%

⒊(一般)課税事業者

(一般)課税事業者とは、次の条件を満たす事業者をいいます。
・免税事業者でないこと
・(簡易)課税事業者を選択しないこと
つまり、基準期間における課税売上高が5000万円超の事業者などです。

⑴売り手
(簡易)課税事業者と同じです。

⑵買い手
仕入先が適格請求書発行事業者であれば適格請求書の保存、免税事業者であれば取引の見直しが必要です。
また、会計ソフトの購入なども必要になる可能性があります(その際はIT導入補助金の活用を検討しましょう)。