133 資産が控除を受けた場合の控除

2023年8月1日

地震や火災など、災害により、資産が予期せぬ損失を受けてしまう場合があります。(以下「資産損失」といいます)
所得税では、そういった場合に税金を緩和する措置があります。
では「具体的にどういった緩和措置があるのか」「資産はどういった資産でもいいのか」といった疑問点が生じると思います。
本記事では、資産の損害と税の緩和について記載をいたします。

●資産損失とは?その種類は?

資産損失は、大きく分けて3つになります。
「①事業用資産の損失」「②生活に通常必要な資産の損失」「③生活に通常必要でない資産の損失」
となります。それぞれ、解説をしていきます。

・①事業用資産の損失

事業用資産に損失が生じた場合、その損失が生じた年の事業所得、不動産所得、山林所得、雑所得の必要経費に算入されます。つまり、所得計算上の控除となります。
例えば、棚卸資産、事業用固定資産が災害等により損失を受けたこと、または、事業用の現金預金の盗難、横領等も対象となります。
資産の場合は、取得価額が損失金額となります。減価償却の対象となる資産の場合、減価償却控除後の金額となります。
また、損失が保険金等で補填された場合も、その補填された金額は、損失金額から控除します。
例えば、資産損失が1,000万円、保険金で500万円補填された場合、1,000万円 – 500万円=500万円が必要経費に算入される金額となります。

・②生活に通常必要な資産の損失

生活に通常必要な資産に損失が生じた場合、一定の金額を所得控除(雑損控除)という形で控除をすることができます。
例えば、自宅や生活用財産等に資産損失が生じた場合が該当します。また、災害に関連して支出した金額(現状回復費用)等も損失同様控除を行うことが可能です。
ただし、雑損控除は、損失から課税標準の10%を控除した金額となります。その年の課税標準が1,000万円で損失が100万円の場合、100万円 - 1,000万円×10%=0となるため、控除をすることができません。

・③生活に通常必要でない資産の損失

生活に通常必要でない資産に損失が生じた場合、損失額は、譲渡所得の計算上控除できます。生活に通常必要でない資産とは、別荘やクルーザー、競走馬、30万円超の貴金属や絵画類等が該当します。
譲渡所得の金額から控除できますが、そもそも譲渡所得が生じていなければ、控除をすることができませんので、①や②と比べると、税負担の緩和効果は薄いものとなっています。
また、譲渡所得でも土地・建物、株式等の分離課税のものからは控除することができません。こちらも注意点となります。

●まとめ

本記事では、資産損失が生じた場合の処理について記載をしました。
資産損失が生じた場合、まず、その資産がどの区分に該当をするのかを確認し、正しい処理を行うことが重要です。また、取得費等の情報も必要となるため、資産の情報の整理等は常に心がけておくようにしましょう。