134 ひとり親控除と寡婦控除とは?意義や違いについて解説

2023年8月2日

税の制度というのは、社会情勢や背景も加味し、改正が行われます。
最近の改正のひとつとして、所得控除の「ひとり親控除」というものが、2020年から開始しました。これは、「ひとり親」に対する税負担緩和措置となります。
一方、今までは「寡婦控除」というものがあり、「寡婦控除」は「ひとり親控除」実施後も制度としてあります。
では、「ひとり親控除」と「寡婦控除」の違いはなにか?どういったときに適用されるのか?
本記事では、「ひとり親控除」と「寡婦控除」について記載をしていきます。

●ひとり親控除、寡婦控除の適用要件や意義とは?

ひとり親控除も寡婦控除も共通する条件は、夫婦のうち、どちらかひとりだけがいるという場合です。では、その違いの詳細を解説していきます。

・ひとり親控除の要件と控除額等

ひとり親控除の適用要件は、下記すべてを満たす場合となります

1 結婚をしていない、事実婚の関係の者がいない、または、配偶者の生死が不明
2 生計を一にする子供(子供の合計所得金額が48万円以下)がいる
3 合計所得金額が500万円以下

ひとり親という言葉のとおり、子供を扶養していることが必要となります。
ひとり親控除の対象になれば、35万円(住民税は30万円)の所得控除を受けることができます。また、ひとり親控除は男女を問わず適用を受けることができます。

・寡婦控除の要件と控除額等

寡婦控除の適用要件は、下記のいずれかに該当する場合となります。

1 夫と離婚後、結婚しておらず(事実婚にも該当しない)、合計所得金額が500万円以下、かつ扶養親族がいること
2 夫が死亡または生死不明で、合計所得金額が500万円以下

寡婦控除は婦とあるように、女性限定の制度です。また、ひとり親控除との違いは、扶養親族となる対象は子供でなくても良いということになります。親や兄弟を扶養親族にしていても適用を受けることができます。
一方で、離婚や夫の死亡という要件があるように、一度は婚姻をしていることが必要となります。ひとり親控除では、結婚していないという文言であるため、婚姻をしていた事実は必要がありません。
寡婦控除の対象となる場合、27万円(住民税は26万円)の所得控除を受けることができます。

・その他の税制のメリット

ひとり親や寡婦に該当する場合で、前年の合計所得金額が135万円以下の場合は、住民税が非課税となります。所得税だけに目がいきがちですが、住民税には、こういったメリットがあるので、覚えておくとよいでしょう。

●まとめ

本記事では、ひとり親控除と寡婦控除について記載をしました。
ひとり親控除が導入されたことにより、税制の男女平等、未婚の親であっても要件を満たせば、所得控除の適用を受けることができるようになりました。ひとり親控除や寡婦控除は、社会情勢を加味した税制改正のわかりやすい例となります。ぜひ、覚えておきましょう。