136 海外に住所を移した場合、納税義務はどうなる?

2023年8月7日

グローバル化が進む現代では、国外で働くということも珍しくはありません。出張ではなく、現地赴任となると、住所ごと海外へ移す必要があります。
しかしながら、海外へ転居した場合、「国内の税金関連はどうなるのか?」「確定申告書は出さないといけないのか?」という疑問点が生じると思います。
本記事では、海外へ転居した場合の課税関係について記載をいたします。

●海外へ転居した場合の所得と確定申告

海外へ転居をした場合でも、国内での納税義務があります。例えば、海外転居後でも国内資産の運用の所得や海外に転居する前までの所得に対するものです。所得が発生するということは、確定申告も必要になる場合もあります。以下、詳細を説明いたします。

・海外へ転居するまでにすべきこと
海外へ転居することになった場合、転居日までに確定申告書を提出しなければなりません。ただし、納税管理人の届出をおこなえば、通常の確定申告同様、3月15日までに提出をすれば大丈夫です。
納税管理人とは、国内の納税義務を委託する者を指します。特に資格は必要ありませんので、親兄弟、勤務先の法人などでも納税管理人に指定をすることができます。ただし、確定申告書の作成等は、税理士の独占業務となるため、納税管理人に税理士資格が必要となります。

・海外へ転居しても国内の所得になるもの
海外へ転居し、現地で働いて受け取る給与は、日本国外の所得となるため、日本ではなく、転居先の国で課税をされることになります。しかし、日本国内で土地やアパートなどを貸付けて収入がある場合、海外に転居をしていても、国内源泉所得となるため、日本の所得税が課されます。この場合において、所得が発生するようであれば、確定申告義務が生じます。海外で自分が確定申告書を作成し、国内の納税管理人に提出をしてもらうか、税理士を納税管理人に指定する必要があります。

・海外へ転居時の注意点
海外へ転居時に注意をしないといけないのが、住民税と固定資産税です。住民税も固定資産税もその年の1月1日が納税義務の判定基準となるため、1月は国内にいて、4月から海外へ転居をしたという場合、住民税(6月に納付書が届く)や固定資産税(4月に納付書が届く)を納付しなければなりません。
納付だけであれば、税理士資格は必要ないため、こういった税金を納めるためにも、納税管理人の届出はしておいたほうがよいでしょう。

●まとめ

本記事では、海外転居と課税関係について記載をしました。海外へ転居をすると郵便物が受け取れず、結果、税金を納められず、加算税が課されたということになる可能性もあります。
そうならないためにも、国外転居時の注意点や納税管理人を指定しておくなど、事前にやるべきことを行ってから、国外へ転居をしましょう。