137 納税義務者の区分について

2023年8月8日

日本国憲法第30条において、日本国民は、納税の義務を負うことが明示されています。
納税は、日本国民の三大義務(教育、勤労、納税)のひとつであり、非常に重要なものです。
では、納税義務者は、すべて同じ扱いかというと、そうではありません。所得税法では、納税義務者を「非永住者以外の居住者」「非永住者に該当する居住者(以下、非永住者)」「非居住者」の3つの区分に分けています。
それぞれの違いはなにか、課せられる税金はどのように違うのか、本記事では、納税義務者の区分について、記載をいたします。

●課税所得の範囲と課税方法

「非永住者以外の居住者」「非永住者」「非居住者」の何が違うかというと、「課税所得の範囲」と「課税方法」です。まずは、居住者等の定義を明確にし、それぞれ、詳細を記載します。

・居住者等の定義

居住者とは、国内に住所を有していること、または、1年以上居所を有している個人を指します。
例えば、日本国内に住所がなくても、日本に1年以上住んでいれば、居住者に該当します。
通常は、居住者に該当することが多いです。
非永住者とは、居住者のうち、日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内の居住者期間が5年以下の個人を指します。外国籍の方が、初めて日本に来た場合、5年間は非永住者となります。
非居住者とは、居住者以外の個人を指します。居住者、非永住者に該当しなければ、非居住者となります。日本国籍を有していても、日本に住所が無い場合、非居住者となります。

・課税所得の範囲

課税所得の範囲とは、どこまでの所得に対して課税をするかということです。
非永住者以外の居住者は、すべての所得に対して課税されます。海外に所得があっても、日本で課税をされます。
非永住者は、日本で得た所得または国外で得た所得で日本国内に送金されたものに対し、課税されます。
非居住者は、国内で得た所得のみです。日本に住所はありませんが、日本国内で不動産の貸付等を行っている場合等が該当します。

・課税方法

課税方法とは、すべての所得を通算して課税する「総合課税」か個別に課税する「分離課税」どちらで課税をするかということとなります。
居住者(非永住者含む)の場合、原則として総合課税となります。
一方で非居住者は、国内に支店や工場等(恒久的施設といいます)を有している場合、その恒久的施設で得られる所得は、居住者に準じて課税されます。つまり、原則として総合課税となります。
上記以外の非居住者の所得もさらに2つに分かれます。1つは国内にある資産の運用等による所得です。これは、居住者に準じて課税されます。先ほども説明したとおり、国内の不動産の貸付等はこれに該当します。
その他の国内源泉所得は、分離課税となります。例えば、日本国内での役務の提供による給与等が該当します。この場合、20%の源泉分離課税となります。

●まとめ

本記事では、納税義務者の区分について記載をしました。多くの方は、居住者に該当をすると思います。しかしながら、外国籍の方が日本に赴任をしてきた場合や自身が海外へ赴任をした場合は、居住者に該当しない可能性が出てきます。
その場合、自分の所得はどうなるのか、改めて、確認が必要となります。