140 副業の収入は、何所得?

2023年8月11日

 

会社員でも、副業をし、収入を得る人は増加しています。なかには、開業届まで提出し、本業さながらの副業をしている人もいます。
ここで、問題になるのが、副業の収入は、何所得になるか?ということです。開業届を出しているのだから、事業所得になるのではないかと思うかもしれませんが、決してそうではありません。
本記事では、副業の収入と所得について記載をします。

●副業の収入は、事業所得か雑所得か

副業の事業形態にもよりますが、副業の収入は、事業所得か雑所得かというのが、論点になります。
では、事業所得と雑所得は、どういった基準で判断されるのか、詳細を記載いたします。

・事業とは?
そもそも事業とは、どういったものを指すのでしょうか?事業のポイントは、「営利性」「反復継続して行われること」となります。
営利性は、一言でいうと、儲けることです。事業が黒字か赤字かということで判断し、赤字が継続して続く場合は、営利性に欠けることとなります。
反復継続とは、事業は、続いていくものが前提ということです。2年3年という短い期間であれば、営利性があっても事業と判断されない可能性があります。

・事業所得と雑所得の違い
事業所得と雑所得の違いは、主に以下のとおりです。
1 事業所得は、青色申告ができる
青色申告ができれば、青色申告特別控除や損失の繰越し、家事関連費の経費算入など、様々なメリットがあります。

2 事業所得は、損益通算ができる
事業所得の損失は、他の所得と通算することができます。一方、雑所得は、雑所得内の通算はできますが、他の所得との通算はできません。

上記のとおり、事業所得の方が税制面でのメリットは、多いです。しかし、事業所得の場合、帳簿の記帳など、事務の手間は増えます。

・副業の所得の判定
副業の所得の判定は、「帳簿の記帳」「金額」「営利性」により、判断されます。
まず、帳簿の記帳です。帳簿がない場合の副業は、雑所得と判断されます。
では、帳簿があれば、すべて事業所得かというと、決してそうではありません。
まずは、収入金額の判定です。副業の直近3年間の平均収入が、本業の直近3年間の平均収入の10パーセント以下の場合は、雑所得と判断されます。
つまり、副業で100万円を稼いでいても、本業の年収が1,000万円ある場合は、10%以下であるため、雑所得と判断されます。
さらに、営利性です。3年間連続で赤字の場合は、営利性がなく、事業ではなく、雑所得と判定されます。事業所得であれば、故意に多額の赤字を出し、他の所得と通算をするということができてしまうため、そういったことへの対応措置といえます。

●まとめ

本記事では、副業の所得の判定について、記載をしました。
副業を事業所得にして、節税効果を得たいという人はいると思います。ただし、事業所得にするには、帳簿の記帳が必要なことや収入や営利性での基準がありますので、事業所得のつもりが、雑所得になってしまったとならないように、注意をしましょう。